2019年
12月
22日
日
昨年まではクリスマスイブがちょうど天皇誕生日で集まりやすかったのですが、令和になって変わったので、今年は昨日の土曜日に教室のクリスマス会を開きました。
例年のように、今年もクリスマスの歌やディズニー、ジブリその他、全員1曲ずつ弾いて、その後にケーキタイム、音楽クイズ、音符カードなどで遊び、最後に私からのささやかなプレゼントで閉会という流れです。
みんなふだんは個人レッスンなので、全員集まっただけで大喜び。ケーキは一個ずつ違うものだったので、どれを取るかじゃんけんで盛り上がり、ジュースもいろんなのを用意したので、そこでまた大騒ぎ、私も大きい声を張り上げないと何も聞こえないという状態でした。
その後に続くクイズやカードも、みんな勝負にこだわって白熱しました。
クイズの問題もそれぞれ考えてくるので、それもちょっと勉強になったと思います。
全員集まると教室がいっぱいでツリーが置けないので、今年はタペストリーを探してみました。
楽天さんでこの生地を見つけたので、ミシンで縁を処理し、上に棒を通すところをつくってタペストリーにしました。ネイビーに銀のグリッターだけのシンプルなものだったので、裏からオーナメントを安全ピンで留めてみました。
子供たちにも好評でした。
来年はまた別のオーナメントをつけてみようかな。
みんな冬休み中も毎日ちゃんとピアノ練習してくれるかな。
休み明けがちょっぴり不安…(笑)
2019年
12月
12日
木
きょうは、最近読んで面白かった本の紹介を。
フランスの作家、ジャン・エシュノーズの小説です。
この前に「ぼくは行くよ(Je m'en vais)」という、ゴンクール賞を受賞した作品を読んだのですが、読んだことのないような斬新な手法で、複数の場所で物語が同時進行していったり、ナレーターである作者がときどき顔を出して主観を言い始めたり、とにかく掟破り。ちょっとミステリー仕立てで、謎が気になってついつい読み進めてしまうという。
作者にからかわれたり操られて、それが読んでいて楽しいといった作風なんですね。
この作品も、冒頭は2人の男が腕を組んで歩き回るシーンから始まるんですが、1人は恐怖に支配され、それを紛らわすためにしきりにお酒を飲みたがるのですが、もう1人は頑として応じず、ぐるぐる歩き回ってから時間を見計らってある場所へ引きずるようにして連れていく。そして建物の中に入ると、恐怖でいっぱいになっている男の背中をドンと押す。すると万雷の拍手に迎えられて男はステージのピアノに向かっていくという。
つまり恐怖に駆られている男は著名なピアニストだったんですね。ここまで身分を明かさないという。
かと思えば、「彼は死にそうな恐怖に襲われていたが、実際2週間後には死ぬことになる」と、あっさり先の筋を言ってしまうし。
え、じゃ、その先はどうなっちゃうの、と思うんですが、死んだ後もストーリーは続いていくんです。
ここでも読み手は作者に操られ、からかわれながら、楽しむしかないんですね。
こちらもエシュノーズ作の「ラヴェル」。
言わずと知れたフランスの作曲家ラヴェルの伝記的な作品ですが、単なる伝記にはもちろんしていません。
これもエシュノーズ流の洒落っ気や皮肉が利いた面白い作品になっています。
「端的に言えばラヴェルは演奏が下手だった。しかしともかく演奏をすることはする。彼はヴィルトゥオーゾの対極にあり、自分でもそのことを知っているが、誰も何も聴いていないのでコンサートは成功理に終わる」(「理」は「裡」の誤植でしょうか。ちょっと残念)
えええーっと思いながら、思わずにやにやしてしまいます。
そして死に向かっていく日常が、一定のリズムを刻む文体でぐんぐんと進んでいく様は、まさにラヴェルの代表作「ボレロ」のようです。
エシュノーズが音楽に強い関心を持って精通していることは間違いないですね。
ピアノや音楽を好きな方には、ぜひお薦めしたい作家です。
2019年
12月
04日
水
気がついたら、もう12月。
書きたいこともいろいろあったんですが、一日一日の過ぎ去るのが速いこと。
土曜日は静岡音楽館AOIにアレクサンドル・タローのリサイタルを聴きに行ってきました。
私は聴いたことのないピアニストだったんですが、なかなかユニークなプログラミングで楽しめました。
このプログラムだって、ピアノの上に乗っちゃってるくらいですからね。
ステージに出てきたときの空気感が、笑みを浮かべてとっても自然な感じで会釈して、見るからに親しみやすい雰囲気。
プログラムは、まずドビュッシー「映像」第1集から、「ラモーを讃えて」。
続いてジョゼフ=ニコラ=パンクラス・ロワイエ(ルイ15世の娘たちの教師だったそうです)という、あまり聴く機会のない作曲家のクラヴサン曲集から2曲。
そしてラモーのクラヴサン曲集から7曲。
休憩を挟んで、またドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲(タロー編)」。
最後に、ベートーヴェンのソナタ第32番。
ベートーヴェン以外は全てフランスものですね。
1部も2部もドビュッシーで始めるのも、面白いアイデアです。
「ラモーを讃えて」で始めたのは、その後でラモーを弾くからでしょうね。
最後がベートーヴェンだったのは、なぜだったんでしょう。
そこはちょっと不思議な気がしました。
ドビュッシーもロワイエもラモーも、とてもきれいな明るい音色で装飾音もきらきらと流麗で、純粋に心地よく楽しく聴けました。
ベートーヴェンは、この人が弾くとなぜかベートーヴェンらしい重厚さはあまり感じられず、フランス人ピアニストだからなのか、この人の特性なのかわかりませんが、これも個性なんでしょうか。
悪くはないけど、好みは分かれそうですね。
ずっしりした感動を期待する人は、ちょっと物足りなさを感じるかもしれません。
でも、全体にとても気持ちのいい演奏で、新鮮味もあり、とても楽しめるコンサートでした。