2018年
3月
26日
月
23日は、サントリーホールでマレイ・ペライアのリサイタルを聴いてから長男宅に行く予定だったのですが、ペライアのリサイタルが中止になってしまったので、上野の都美術館のブリューゲル展に行ってきました。
折しも上野恩賜公園は桜が満開を迎え、大勢の人で賑わっていました。
駅前では「本日のパンダ見学の整理券は終了しました」という札を持って立っている人も。
ソメイヨシノって、単純なピンク色じゃなくて薄墨色がかっていて、黒い幹や枝とのコントラストもいいんですね。
どこか妖艶な風情を漂わせています。
外国の方も多かったですね。
この後ろ姿の着物のお嬢さんたちは、中国語でおしゃべりしていました。
着物を着て桜と一緒に写真を撮りたかったんでしょうね。
私はブリューゲルについてはあまり知らなくて、右側のパンフレットのような花の絵のイメージで、一個人の画家だと思っていたのですが、実はブリューゲル一族というのがあって、複数の画家を輩出していたんですね。
ピーテル・ブリューゲル(父)は農民を描いた画家、その子のピーテルも農民を描き続けて非常に貧しかったので「地獄のブリューゲル」と呼ばれたとか。
ヤン・ブリューゲル(父)が、私のイメージにあった花を多く描いた画家で、お金持ちにもてはやされて裕福だった「花のブリューゲル」。その子のヤンも父の仕事を受け継いだんですね。
だいたい父子で同じ名前を名乗ったりするからややこしいですね(笑)
そして、父の作品をひたすら模写して伝統を受け継いだり、一人の画家が自分の個性を追求する今の時代とは感覚が違いますね。
「ブリューゲル」という一つのブランドともいわれているようです。
でも、音楽の世界でも、例えばバッハなら一族で50人もの音楽家を輩出していて、弟子と共同作業もしているし、それもバッハブランドなのかもしれません。
展示されている作品の中に、ヤン・ブリューゲル二世の「聴覚の寓意」という作品があって、さまざまな楽器がとても丁寧に描き込まれていました。
えっ、この時代にこんなにたくさんの種類の楽器があったの、とちょっとびっくりしましたが、ヤン二世は1601年から1678年に生きた人だそうですから、バロック音楽の時代なんですね。
ショップでこの絵をプリントしたチケットホルダーを売っていたので、記念に買ってきました。
知らない楽器もあって、一つずつ見ているだけでも楽しいです。
ブリューゲルの絵を見て楽しんで、ついでにお花見気分もちょっと味わって、少しだけペライアのリサイタルが聴けなかった心の穴が埋められたかなと思います。
2018年
3月
12日
月
NHKのBSプレミアムの「ザ・プロファイラー」という番組、見たことがなかったんですが、ショパンを取り上げていたので、初めて見てみました。
司会は岡田准一さんなんですね。
ゲストは美輪明宏さん、古坂大魔王さん、作家の平野啓一郎さん。
そしてピアニストの仲道郁代さんがピアノ演奏を担当。
ショパンがなぜ独自の音楽世界を築くことができたのかとか、ジョルジュ・サンドとの関係とか、さまざまな角度からショパンの人物像に迫るような番組でした。
姉妹に囲まれて育った生い立ちとか、内気で繊細、あまり体力もなくて大きな音が出ないので、大変な名人なんですけどホールでの演奏には向かなかったとか、サンド親子のごたごたに巻き込まれる形で破局したとか、既に知られていることが多くて、そんなに新鮮味はなかったんですが、改めてショパンの人間像について考えさせられました。
ゲストの皆さんもそれぞれの立場からお話ししていて、それぞれの人柄も出ていて面白かったですが、平野さんはショパンを題材にした小説やエッセイも書いていて、相当詳しい方だと思うので、もっとお話を聞いてみたかったなと思います。
ショパンが名声もあり財力もあるサンドに庇護されるような形の恋愛だったことは、姉妹たちの中で大事にされて育った生い立ちや、結核で健康に不安を抱えていたこと、若くして祖国ポーランドを出てからポーランドで革命が起こって帰国できなくなってしまい、愛する家族と離れて異国で暮らす寂しさが影響していたのは間違いないのではないかと思います。
そして、そういう境遇が音楽にも反映しているのでしょう。
でも、それにしても稀有な個性ですよね。
ほかの作曲家は、例えばベートーヴェンでも初期の作品はモーツァルトに似ていたり、曲によっては他の作曲家の作品に近かったりするものですが、ショパンだけは、それほど知られていない作品でも、「ああ、これはショパンかな」と、誰にでもわかるんじゃないかと思います。
番組では、子供のころについていた先生が、ヴァイオリンの教師でピアノはあまり弾けない人で、ショパンはほとんど一人で学んだんじゃないかと言っていました。
確かにあまり教え込まれなかったのは大きいと思いますが、教え込まれなければあれだけの個性が湧いてくるとも思えません。
やっぱりあの稀有な才能は、天からの授かり物だったのでしょうか。
2018年
3月
02日
金
昨日は生徒さんがみえる前にピアノを弾いていると、電話が鳴りました。
誰かお休みか変更かなと思って出ると、「こちらはサントリーホールですが」と。
何やら嫌な予感が…
的中しました。
チケットを買ってあった、3月23日のマレイ・ペライアのピアノ・リサイタルが、本人の体調不良のため中止になったというお知らせでした。
ほかの日に聴けないのか聞いてみたんですが、「今回のアジア・ツアーは全て中止となりました」ということでした。
このためにスケジュールを調整し、乗り物の手配もし、これで万全と楽しみにしていたんですが…(T_T)
残念ですが、体調不良では仕方ないですね。
それよりも、アジア・ツアーって何公演分か知らないけど、重大な病気でなければいいですけど。
また元気になって来日していただきたいものです。
大分前になりますが、ずっと聴いてみたいと思っていて、滅多に来日しないピアニストが来るというので、やはりサントリーホールのチケットを買ってあったのに、今回のようにホールから電話があって中止になったことがありました。
そのピアニストの体調不良ということだったんですが、その後、亡くなってしまい、とうとう一度も聴けなかった本当の幻のピアニストになってしまいました。
ペライアは一昨年も来ていたし(そのときは先に同じ日のアヴデーエワのチケットを買ってしまっていた)、きっと元気になってまた来日してくれると思っています。
さて、せっかくあけたスケジュールと買ってしまった乗車券、予定をどう変更するか思案中です。