2018年

10月

21日

ヴァンサン・ラルドゥレ ピアノリサイタル

昨日の午後、フランスのピアニスト、ヴァンサン・ラルドゥレ(Vincent Larderet)のリサイタルに行ってきました。

ほかの講演会に行く予定だったのですが、このリサイタルがあるのを知って、講演会のほうはキャンセルしました。

私は知らないピアニストだったんですが、フランス人ピアニストがドビュッシーやラヴェルを弾くなら、ぜひ聴いてみたいと思ったので。

 

このチラシの「フランスの貴公子」ってキャッチフレーズ(?)、「どうなの、これ」と。

これをつけた人は何でも「貴公子」ってつければ売れると思ってるのかしら。陳腐でしょ。

 

ステージにあらわれた姿を見たとき、「あ、貴公子でいいな」と思いました(笑)。

すらりと長身で、歩く姿がとてもきれいです。

というわけで、「貴公子」認定。

 

1曲目はドビュッシーの「前奏曲集 第2集」。

12の小曲から成るのですが、前半は曲と曲の合間に髪をかき上げたり、鼻のあたりを触ったり、やや神経質な印象。でも、曲が進むにつれて音楽に入り込んで、多彩な音色で本領発揮という感じでした。

 

私の席は買った時期がちょっと遅かったので、後ろのほうのやや左ぐらいだったのですが、小さいホールだったこともあり、ちょうどいい席だったみたい。響きもよく、手も足元もしっかり見えて最高でした。

 

そして気がついたことは、ペダリングがとてもデリケートで、ビブラートのようにしていたり(効果はそれほどわからなかった)、なぜか右足を上ではなく、横に外すようにしていたり。普通は上下運動ですよね。これは何か意味があるのか。

鍵盤のタッチも含め、音色や響きに対して非常にこだわりのある人なのは間違いないですね。

 

リストの「詩的で宗教的な調べ」もショパンの「バラード2番」も、それぞれけれんみのない演奏でよかったのですが、やはりドビュッシーと、ラヴェルの「夜のガスパール」が、とても面白く聴けました。

 

講演会も行けば面白かったと思うけど、このリサイタルに行って濃密な時間を過ごすことができ、収穫がありました。

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2018年

10月

07日

古典の月

月といえば、ベートーヴェンの「ムーンライトソナタ」とか、ドビュッシーの「月の光」とか、クラシック音楽でも題名になっているのですが…

このホームページをつくるより前のことですから、もうかなり前のことですが、岡生涯学習交流館で英和短大の大洋和俊先生の古典講座が、毎年一度、3~4回にわたって開催されていました。

最初に広報で目にとまったのは清少納言の「枕草子」の講座で、高校時代に古文の勉強の合間に引き込まれてしまった記憶があり、興味を持って参加してみました。

それから、次の年は「平家物語」、それから「古今和歌集」と、大変面白く聴講していたのですが、残念ながら岡の交流館が建て替えになって、この講座も消滅していました。

 

先日、やはり広報を見ていたところ、大洋先生のお名前が目にとまり、隣の浜田生涯学習交流館で「古典の月」に関する講座があるということで、金曜日に聴いてきました。

 

先生はいまは退職されたそうで、要請があれば庵原や清水の交流館で講座を開いていらっしゃるようです。

随分久し振りだったのですが、変わらずお元気なご様子で、ゆったりした語り口も、ああ、そうそう、こんな感じだったと、懐かしく思いました。

ときおりちょっととぼけたジョークを織り交ぜながら、ゆったりしたテンポで古典の世界にいざない、忙しい現実世界をしばし忘れさせてくださいます。

 

配付された資料には、「竹取物語」と、後半は「今昔物語集」が抜粋されていました。

先生はこの夏はずっと「源氏」を読み込んでいらっしゃったそうで、私も「源氏物語」を読んだとき感じたのですが、「源氏」には「竹取物語」が色濃く下敷きとしてあるということをおっしゃっていました。紫式部は「竹取物語」をよく読んでいて、それが「源氏」のベースにあったに違いないと。

そして、「源氏物語」よりも「竹取物語」のほうが、文の力強さ、迫力ではずっと無駄がなく迫ってくるというようなこともおっしゃっていて、興味深かったです。

 

今週もう1回講座の続きがあるので、秋の日の午後、古典の月の世界に浸ってこようと思います。

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