2016年
7月
30日
土
ピアニストの中村紘子さんが亡くなられたというニュースが流れました。
がんで闘病しながら演奏活動をしているという話は聞いていましたから、そんなにびっくりしたわけではないけど、「え、だめだったの、早いな」という印象です。
日本人の国際的なピアニストがまだ少なかった時代に、ショパン・コンクールで入賞して脚光を浴び、華やかな容姿もあってスター的な存在でしたね。
私もリサイタルにも何回か足を運び、著書も読みました。文章もお上手でしたね。
作家の庄司薫さんと結婚したときも、大変話題になりました。
庄司薫さんも当時、芥川賞を取った売れっ子作家で、私も受賞作の「赤ずきんちゃん気をつけて」以下、何作も読んでいました。
中村紘子さんの演奏も、はっきり物を言うお人柄も、恐らく好きな人もそうでない人もいるかもしれませんが、実力者であったことは確かだと思います。
72歳ということですが、ピアニストは長命で長く活躍する人が多いですから、ご本人はまだまだ弾き続けたかったことと思います。
力強く、また大輪の薔薇のようだった1人のピアニストの訃報に、時代は過ぎていくんだなということを改めて感じさせられました。
2016年
7月
21日
木
発表会に向けて、いまが実は一番大事な時期です。
もちろん直前も大事なんですが、そのころは緊張感も高まり、みんな集中してくるので、それまでの準備が順調に行っていれば、あとは子供たちの力を信じるのみです。
もう随分前ですが、作曲家の故平井康三郎先生が子供の指導をする場に居合わせたことがあるのですが、そのときの先生の「子供はみんな上手になろうという本能を持っている」とおっしゃった言葉はいまでも強く印象に残っています。
ただ、子供に限りませんが、人間ってどうしても楽をしたがるんですね(笑)
ふだんはいろんなことに気が散るし、レッスンに来てもなかなか集中しなかったり。
やっぱりこちらがまず真剣になって、子供にそれを肌で感じさせることが大事かなと思います。
きょうのレッスンもそうでしたが、ふだんのんびりしている子には、まず最初に「さあ、いまから30分、先生と真剣勝負だからね!」と檄を飛ばしてからスタートします。
子供って素直ですから、そう言われると「ハイ!」と乗ってきてくれたりするんですね。
家での練習はいまひとつ成果が見えなかったりするんですが、少なくともこうやって一緒に頑張った30分は目に見えて形になってきます。
多分、こうやって弾けてきたところは楽しくなってきて、家でも気持ちよく弾くでしょう。
本当はできないところこそ自分で考えて試行錯誤しながらでも身につけていくのが練習なんですけどね。
レッスンの中で勉強の仕方も学んでいってくれるといいなと思います。
去年の発表会も最後にみんなで歌を歌ったので、今年も何か歌おうかなと。
いまはネットで楽譜もダウンロードできるし、便利になりました。
大人も子供も楽しく歌える歌を選曲中です。
2016年
7月
16日
土
きょうは昨日までの暑さに比べると、雲があったので少し涼しくて過ごしやすく、ちょっとほっとしました。
店頭で見かけたカサブランカ。
大きくて見事ですね。
華やかでありながら気品もあり、風格を感じさせます。
普通は雄しべがちょっときついオレンジ色なんですが、これは品種改良のせいなのか、オレンジ色の花粉の部分が見えないですね。
そのせいか、一層清らかに見えます。
映画の「カサブランカ」とは関係があるのでしょうか。
カサブランカってモロッコの都市ですよね。
スペイン語で「白い家」という意味だそうですが。
映画「カサブランカ」はハンフリー・ボガードとイングリッド・バーグマンの有名な映画。
もしかしたら、この花はバーグマンのイメージで名づけられたんでしょうか。
きょうは夏休み前のフランス語の最後のレッスンでした。
夏はフランソワ先生が毎年バカンスでフランスに帰られるので、9月までお休みになります。
きょうは真面目な先生が、珍しくレッスン時間を間違えて30分遅刻してみえたので、みんなでふざけてブーイングしたり、かえって盛り上がっちゃったんですが、ちゃんとその分延長してレッスンしてくださいました。
先生のバカンスの関係でレッスンが1回足りない分、きょうと9月の1回目が30分早く始まる予定だったんです。
先生が忘れちゃだめですよね(笑)
昨日のニースのテロのことは先生もショッキングだったようで、大変心配していらっしゃいました。
大勢の人が集まる場所は、やっぱり危険がありますね。
無事にバカンスを過ごされて、9月からまた楽しくレッスンしていただきたいと思います。
2016年
7月
12日
火
8月の発表会に向けて、やっと全員が前を向いて歩き始めた実感があります。
まだまだ順調とは言えない生徒さんもいますけど、とにかく弾けるようにしなきゃ、という気持ちにはなってきたかな。
ここまでが結構大変なんですね。横を向いてる子、後ろを向いてる子、立ち止まっている子…(笑)
前を向いて歩いたり走ったりしている子は、いくらでも上手にしてあげられるんだけど、そうじゃない子は、まずは前を向かせるのが大変。
この時期になると、毎年、お教室の後ろの壁にプログラムの原稿を貼り出します。
暗譜ができて大体できてきた人には赤いシールを貼ります。
ここでやっとみんな発表会モードになって、スイッチが入るんですね。
そして、3週間前にみんなで教室に集まって第1回目のリハーサル。
このとき荒削りでも暗譜で弾ければ、大体大丈夫。
あとは完成度を高めていくうちに、単に間違えずに正確にというだけではなく、表現に目を向けたり、だんだんその子らしい個性が出てきます。
このころの集中力が1年を通じて続けば、みんなびっくりするくらい上手になると思うんですけどね。
でも、発表会を機会に、子供たちがとても成長するのは確かです。
ご家族にとっても、お子さんの1年の成長を確認できる機会ですね。
今年もいい発表会にしたいと思います。
2016年
7月
08日
金
昨日は七夕。清水の七夕祭に出掛ける人が多かったのかもしれませんが、私は逆の方向へ向かって、AOI音楽館で催されたロマノフスキーのリサイタルに行ってきました。
AOIのホールは、私の大好きなホールです。
音響もいいし、内部も正面にパイプオルガン、天井のシャンデリアも素敵だし、とても綺麗。
発表会でも何度か利用させてもらいましたが、スタッフの対応も親切で行き届いています。
Alexander Romanovsky(1984~ )
ウクライナ生まれだそうです。
この横顔の写真、クラシックな雰囲気も漂って、リストの肖像みたいじゃありませんか?
プログラムはシューマンのアラベスク、トッカータ、そして「謝肉祭」。休憩を挟んでムソルグスキーの「展覧会の絵」でした。
前半の「謝肉祭」が終わったところで、もう割れんばかりの拍手で、まるでリサイタルの最後みたいだったんですけど、後半の「展覧会の絵」も圧巻でした。
テクニックもすごいんですけど、音も強く豊かな音量で、圧倒的でした。
でも、素晴らしいのは、その音量の幅を生かして奥行きや遠近感を含め、多彩な表現をしていたこと。
最近は若いピアニストでテクニックのすごい人が次々と出てくるんですけど、テクニックをひけらかすだけでは一流にはなれないんですね。
ロマノフスキーは節度やバランスを保ちながら、品格のある演奏をしているなという印象でした。
最後は彼の強靭な音に負けないくらいの大きな拍手が続き、アンコールに応えて何と6曲も弾いてくれました。
ショパンの革命エチュード、遺作のノクターン、リストの超絶技巧練習曲から10番、スクリャービンの12の練習曲から12番、バッハの管弦楽組曲からピアノアレンジのもの、平均律クラヴィーア曲集からプレリュードと、多岐にわたるものでした。
姿勢を正して会釈する姿、聴衆の称賛に何度でも応えようという誠意も感じられ、とても気持ちのよいリサイタルでした。
私も背筋を伸ばしてピアノに向かわなきゃと思いつつ(笑)、帰途についたのでありました。