2014年

5月

31日

アンドラーシュ・シフ

29日にBSプレミアムで放映されたアンドラーシュ・シフ(1953~)のピアノ・リサイタルの模様。

曲目は以下のとおり。

 

メンデルスゾーン 厳格な変奏曲

シューマン    交響的練習曲

         アラベスク

バッハ      パルティータ第4番より

 

いやあ、よかったですねえ。

どれをとっても素晴らしかったです。

理性的な部分とパッションと情緒的な部分のバランスが、私には理想的に思えました。もっと熱い演奏が好きな人もいるのかな。

 

この「クラシック倶楽部」では、若くて有望かつ有能なピアニストもよく取り上げられています。

感心する演奏や圧倒されるような見事な演奏も聴かれるのですが、前にも触れたマレー・ペライアや、今回のシフはまた別格です。

私なりの表現ですが、温かい滋養のあるスープが五臓六腑に滲みわたるように、心にも体にも入り込んできます。

 

インタビューの中で、「体と心の健康のために、毎日朝食前にバッハを1時間弾きます」と言っていましたが、最後のパルティータは本当に聴く側の体と心も癒されるような演奏でした。

 

若いころ、コチシュ、ラーンキと並んで「ハンガリーの若手三羽ガラス」と呼ばれていたころから、風貌も音楽も円熟の境地に達している感があります。

 

この録画は永久保存版です。

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2014年

5月

25日

小さい手のためのピアノ

この前の記事で、リストの「ラ・カンパネラ」が私の手には向かないということを書いたので、その流れで。

 

要するに、私の手は少し小さめで華奢なんです。1オクターブは届きますから、そんなに特別ではないですけどね。

そして、「ラ・カンパネラ」は10度(1オクターブ+2音)が速い速度で連続する曲なので、手の小さい人には圧倒的に不利な曲です。

10度が届く人にとってはどうということない箇所で、手が小さいばかりに七転八倒することになりますから。

 

その手の大きさのことで、昔、ちょっと面白い経験をしたことがあります。

当時、私は声楽の先生の伴奏をさせていただいていて、その方が中田喜直さん(1923~2000)作曲の「六つの子供の歌」を演奏会で歌うというので、中田先生の都内のご自宅にレッスンに伺うことになり、伴奏者として同行したことがあります。

 

中田喜直さんと聞いてわからなくても、先生の「めだかの学校」「ちいさい秋みつけた」「夏の思い出」「雪の降るまちを」などの歌を歌ったことのない人はいないんじゃないでしょうか。

先生は初めはピアニストを目指していたそうですが、手が小さかったために断念して作曲家になられたそうです。

 

その先生のご自宅に、鍵盤の幅が少しずつ狭くなっている、小さい手のためのピアノがありました。先生が提唱してメーカーに特注してつくらせたものです。

そのピアノで伴奏させていただきました。

1回目は多少の違和感があったものの、細かくレッスンしていただいて、最後にもう1回通して弾いたときには、もう全く手になじんで弾けました。

先生に「このピアノはあなたの手に合っています」と言っていただきました。

 

と言われてもね(笑)

仮に私もこのピアノを特注して自宅で弾いていたとして、コンサートの会場に同じサイズのピアノがなければかえって大変なことになります。

ピアノはほかの楽器のように自分の楽器を持ち運ぶわけにいきませんから。

先生のアイデアは素晴らしいけど、これが普及しなかった理由はだれの目にも明らかですよね。

 

先生はいろんな主張をして運動なさる側面があったようで、嫌煙運動も熱心になさって反響を呼んだそうですし、憲法問題など政治的な主張もなさったそうです。

 

あまり笑った顔の印象はありませんが、このレッスンで伺ったときは、私が楽譜に書き込むために持参した鉛筆を「ちょっと貸してください」とおっしゃって別室に行かれて、戻ってきたときはピンピンに尖らせて削ってありました。

鉛筆は尖っていないと気が済まない方だったんでしょうか(笑)

 

また、別の機会で合唱団の指導のために清水にみえて伴奏させていただいたときは、1回演奏した後で、合唱の指導の前に「ピアノはよく弾いていたと思います」とさりげなくねぎらってくださったり、優しい方だったという記憶が残っています。

 

世界じゅうのコンサートホールに先生の小さい手のためのピアノが普及していたら、私も「ラ・カンパネラ」を弾いたかもしれません。

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2014年

5月

21日

顔合わせ

きょうは、このホームページからお問い合わせのあった方が初めてみえました。

「初心者でも大丈夫ですか」というメッセージだけで年齢も伺っていなかったので、どんな方がみえるのか、ちょっとドキドキ。

 

いらっしゃったのは40代の女性でした。

中学生のお嬢さんが受験を機に音楽教室を退会したので、ピアノもあることだし、今度はご自分がと思われたそうです。

 

「何か弾けるようになりたい曲とか、目標がありますか」と伺ってみたところ、「特に何もないんです」ということでしたが、いろいろお話ししているうちに、「ショパンが大好きなんです」という言葉が出てきました。

 

「それじゃ、将来はショパンが弾けるように頑張りましょう」ということで、来月を待たずに来週からスタートすることになりました。

 

勉強熱心な方のようにお見受けしました。

期待できそうです(*^_^*)

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2014年

5月

20日

おすすめ

29日にシフのリサイタルが放映されるようですね。

 

BSプレミアム 午前6:00~6:55

アンドラーシュ・シフ ピアノリサイタル

曲目は、メンデルスゾーン、シューマン、バッハ。

 

とても素晴らしいピアニストなので、一聴の価値ありです。

時間が早いので、私は録画するつもりです。

 

東京の先生からも、「シフやるわよ」とお知らせがありました。

先生は生で聴かれたそうです。

会場じゅうが大変な盛り上がりだったそうですよ。

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2014年

5月

18日

フランス語 きょうの表現

Si j'étais riche,je ferais le tour du monde en bateau.

スィ ジェテ リシェ ジュ フェレ ル トゥール デュ モンド オン バト

もし私がお金持ちなら、船で世界一周をするんだけど。

(この時期、乗る船は慎重に選びたいですが)

 

きょうは条件法現在の、現在または未来の事実に反する仮定。

ちょっと難しくなってきました。

前半は半過去、後半は条件法現在を使っています。

 

フランス語は英語より時制の種類が多いんですね。

習っただけでも近接過去、近接未来、複合過去、半過去、大過去、単純未来、条件法現在、条件法過去。

 

まだ頭の中が全く整理できていません(笑)

フランス人は感覚で自然に使い分けているんですよね。

それがネイティブってことなんでしょうけど。

 

人生は短いのにもどかしい限りですが、なかなかできないからこそ面白いのかもしれません。

ピアノの勉強にも共通するかな。継続は力と信じて。

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2014年

5月

13日

佐伯祐三とパリ

県立美術館で開催されていた「佐伯祐三とパリ」展に行ってきました。

佐伯祐三についてはあまり知らなかったのですが、印象の強い、才能を感じさせる画風で、会期中に観ておきたいと思ってずっと気になっていました。

 

佐伯祐三(1898~1928) 大阪市出身。

東京美術学校(現東京芸大)で学び、在学中に知り合って結婚した米子と幼い娘と共にパリに渡り、パリの街角などを描いた多くの絵を遺したが、持病の結核と精神を病んで自殺未遂、最期は食べることを拒んで衰弱して病院で亡くなり、その2週間後には6歳の娘も同じ結核で亡くなった。

 

ストレプトマイシンが発見されて結核が死病でなくなる以前は、この病気で夭折する人は多かったですね。芸術家や作家も。

ショパンも、結核と闘いながら数々の名曲を遺しました。

 

佐伯の作品は、一見して粗い強い線が印象的で、直線も傾いでいたり、歪んでいたりするのですが、それが作者の心象をあらわしているようで、天性のセンスを感じました。パリの石造りの建物やポスターや看板の文字をモチーフにしたものが特徴ですね。

30年の短い生涯と6年ほどの画家としての生活、激しく突き詰めて生きた証としての作品の数々。

 

私はときどき、それぞれ30代で亡くなった、シューベルトやモーツァルト、ショパンが仮に70代とか、せめて60代ぐらいまで生きたら、どんな作品をあとどれだけ遺しただろうと思いをめぐらすことがあるのですが、短い生涯でも充分に傑作を遺し、濃い足跡を残すのが天才の天才たるゆえんなのかもしれません。

 

佐伯祐三も、人々の記憶に残る天才だと思います。

行ってきて作品に触れることができて、本当によかったです。

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2014年

5月

08日

蔦の細道追記

蔦の細道について、私も知らないことが多かったので、整理しておこうと思います。

上の写真は、峠の上からの眺め。そんなに高い感じはしませんね。

でも、運動不足の私には、少し息が切れるぐらいの上りが続きました。

ハイキングコースとしては入門コースだそうですが。

伊勢物語によって知られるようになったそうで、この札にもある「駿河なるうつの山辺のうつつにも夢にも人にあはぬなりけり」が、最も有名な歌ではないでしょうか。

奈良・平安時代にかけて、在原業平、藤原定家、藤原俊成等、多くの歌人が歌を残しました。

秀吉が小田原攻めのため、この道の北側に新しい道を開いて以降、蔦の細道は人の往来がなくなり、忘れられたとのことです。

明治のトンネルの中から出口に向かって。

明治時代につくられたということは、内部の石の一つ一つも丁寧に人の手によってはめ込まれたということですね。どれだけの労力と時間が注がれたのかと考えると、畏敬の念を覚えます。

それにしても、暗くなってからこんなところは通りたくないですね(笑)

 

今回、蔦の細道を歩いたことで、ほんのちょっとだけですが、いにしえに思いを馳せることができました。

知識だけでなく、実際に自分の足で歩くとちょっと違うような気がします。

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2014年

5月

07日

蔦の細道

お友達5人と、蔦の細道を歩いてきました。

明治のトンネルの前に佇む昭和の女。

(昭和は長いからね)

ちなみに、近辺に大正のトンネル、昭和のトンネルもあります。

ワンちゃんもリュックをしょって歩いていました。

 

きょうは午前11時に静岡駅集合でした。

私たち朝早く集合したりしません。

 

なぜって…

この時間に合わせて逆算して集合時間が決まるからです(笑)

 

もっと御馳走が並んでいたんですけどね。

いつもながら乾杯して食べちゃってから、「あっ、写真!」って気がつくんですよね。

 

いい空気を吸って、新緑を眺め、乾杯まで、連休のいい締めくくりになりました。

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2014年

5月

04日

きょうのレッスン

大学進学のために退会し、その後大学を卒業して社会人として働いているお嬢さんが、今年の発表会に参加することになり、先週からレッスンにみえています。

 

とはいえ、仕事がハードで毎日帰りが遅いということで、週末しか練習する時間はないようです。ちょっと自信がなさそうなので、「連弾ならどう?」ということになりましたが、かつて一緒に連弾をしていた子たちも県外に出ていたり、やはり仕事に追われているようなので、結局私と弾くことになりました。

 

幾つか候補を上げて、ちょっと弾いてみせたところ、彼女が「あ、それいいですね!」と食いついたのがフォーレの「ドリー組曲」。

難易度としては易しいほうですが、練習時間をあまりとれないことも考えて、これがいいかなということになりました。

 

ガブリエル・フォーレ(1845~1924)

フランスの作曲家。

気品のある洗練された作風です。

よく知られている曲というと、歌曲「夢のあとに」や「レクイエム」でしょうか。ピアノ曲も即興曲やノクターンなど、数多くあります。

 

「ドリー組曲」は、フォーレが親しくしていた家の小さな女の子、エレーヌ(愛称ドリー)の誕生日に毎年1曲ずつ贈られたものだそうです。

幸せな女の子ですね。こんな素敵なプレゼントをもらえるなんて。

 

エレーヌの母は後にドビュッシーの妻となった人で、その娘シューシューのためにドビュッシーが作曲したのが「子供の領分」なので、この2曲は、文字通り姉妹曲だそうです。

 

私たち2人で可愛いドリーの代わりが務まるでしょうか(笑)

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連休の間はピアノのお稽古もお休み。

きのうは午前中バタバタしていましたけど(便利な日本語表現)、お昼になってやっと落ち着いて、ラヴェルのピアノ曲を聴きながら昼食、その後は録画してあったフランス語講座を見ました。

お天気が悪かったので買い物に出る気にもならず、午後はピアノを練習しながら同時進行でパンを焼きました。

 

夕食もたまたま一人だったので、古い映画(録画もいつしたか覚えていない)を観ることに。

「エル・シド」。チャールトン・ヘストンとソフィア・ローレンです。

中学生ぐらいのとき、母が読んでいた婦人雑誌で髪型や帽子で顔の印象を変えるような記事を読んでいたとき、出ていたのが「エル・シド」でのソフィア・ローレンのこのかぶりもの。

綺麗ですねえ。

ソフィア・ローレンというと、グラマラスなイタリアの女優さんというイメージですが、このときは若くて、往年のイメージとはちょっと違う感じ。

 

記事の内容は、このかぶりもので顔が逆三角形に見える効果が、というものでした。

うん、確かに。これならリフトアップで苦労する必要もないかも?

でも、これをかぶって呉服町通りや清水銀座は歩けないですね(笑)

 

もっとも、私は静岡伊勢丹前でロリータファッションのおばあさんに遭遇したことがあります。それくらい突き抜ければあっぱれですけど。

噂では、ゴスロリのおばあさんもいるそうですが、地方都市伝説かもしれません。

 

映画は、スペインを舞台に、戦闘シーンが圧巻で重厚な歴史物でした。

チャールトン・ヘストンが、いま見るとシュワちゃんにちょっと似てたのが意外でした(笑)

 

珍しく優雅な日でした。たまには許されるかな。