ガルシア・ガルシア ピアノリサイタル

先日グランシップにマルティン・ガルシア・ガルシアのリサイタルを聴きに行ってきました。

2021年のショパンコンクールの予選で初めて聴いたときは、体を揺らしたり時折声を出して歌いながら、とても楽しそうに弾いていましたが、コンクールでそんなに歌いながら弾く人は初めて見たし、このレベルのコンクールに出る人にしてはミスタッチも多く、正直本選まで残るとは思いませんでした。

それが次々勝ち進んで、気がつけば本選、そして3位入賞と、驚かされました。

 

静岡に来るというので聴きに行ったんですが、最初の印象は、まず音が美しくて豊かなこと。

同じ会場で昨年は同じショパンコンクールで反田さんと並んで2位だったガジェヴを聴いたのですが、そのときは2階席、今回は1階席で席の違いやピアノの違い(今回はファツィオリ)もあったと思いますが、とてもいい音に感じました。

 

やはり体を揺らしてリズムをとりながら、そして時折声を出して歌いながら、でもミスタッチはほとんどなかったです。

声を出して歌っちゃうのは、いろんな意見がありそうですが、本人は全く気にしていないんでしょうね。音楽に入り込んでいるからと言えばそうなのかな。

でも、私はピアノの音を集中して聴いているときに本人の声が聞こえてくるのは、ちょっと集中が妨げられる感じで気になりました。

 

スペイン出身ということで、やはり第2部のモンポウやアルベニスでは水を得た魚のようにのびのびと弾いていました。

私はそれ以外の曲も全体にスペイン人の感性を感じたんですが、外国の人が日本人のピアニストを聴くときは日本的と感じるんでしょうか。

 

技術の卓越性、スペインの太陽のような輝かしい響き、独特のリズム感、とてもレベルの高い個性的なコンサートでした。

プログラムの曲だけでも終演予定を30分近くオーバーするような盛沢山な内容だったんですが、アンコールもラフマニノフやリストなど4曲もエネルギッシュに弾いてくれました。

とても内容の濃いコンサートだったと思います。

 

来年はまたショパンコンクールがあります。日本から参加する人の中にも期待されている人たちがいますが、前回のコンクールを見る限りでは、本選に残ったのは皆さんテクニック、音楽性ともに図抜けているだけでなく、強い個性を持った人たちだったと思います。

期待の日本人ピアニストたちが、どこまで上位に食い込めるか、とても楽しみでもあり、興味が尽きません。またライブ配信で夜更かしすることになりそうです。