カントロフ ピアノ・リサイタル

日曜日に静岡音楽館AOIにアレクサンドル・カントロフのピアノ・リサイタルを聴きに行ってきました。

1997年生まれのフランスのピアニスト。お父さんはヴァイオリニストのジャン=ジャック・カントロフです。

2019年のチャイコフスキー・コンクールに22歳で挑戦し、藤田真央さんを抑えて第1位、いままでに3人しか授与されていないというグランプリにも輝きました。

フランス人が優勝したのも初めてだそうです。

プログラムを見ればピアノを勉強した人にはわかると思うのですが、難しい曲ばかりですよね。

しかも「シャコンヌ」は左手だけのために編曲されたものです。両手用の編曲のもので演奏するのがほとんどだと思うのですが、あえて左手だけのものを選んだ意図は何なのか、この編曲がお好きなんでしょうか。

 

私はカントロフを聴くのは初めてだったのですが、まずステージに出てきたとき、そんなに背が高いわけでもなく、際立って痩身で、どんな音を出すんだろうと。

 

ところが演奏が始まると、驚くような豊かな響きで、ピアニッシモは繊細で非常に美しく、圧倒されてしまいました。どうしてこんな音が出るんでしょう。テクニックも圧倒的です。

左手だけのためのシャコンヌも、片手で弾いているとは思えない響きで、見事な演奏でした。

何よりも音楽がとても自然で曲への没入の仕方が凄くて、すっかり魅了されてしまいました。

鳴りやまない拍手に応えてアンコールは3曲弾いてくれたのですが、その曲目は以下のとおり。

 

ラフマニノフ     ピアノ・ソナタ 第1番、第2楽章

ストラヴィンスキー 「火の鳥」より 終曲

F・モンポウ     「 歌と踊り」 第6番

 

普通はアンコールは短い軽い曲やちょっと華やかな曲を弾くものですが、アンコールまでこだわりの詰まった聴きごたえのある曲ばかり。

プログラムの曲のチョイスや並べ方もそうですが、深く考えてこだわりを持って音楽を追求されているのだと思います。

まだ26歳ということで、きっとまた来日されるでしょうから、その折にはどうしてもまた聴きたいピアニストです。