余韻

ショパン・コンクールが終わって3週間ほどが経つのですが、終了後に一次・二次・三次の各予選の詳細な採点表が発表されたので、ネット上ではそれをまた細かく分析するチャンネルまであり、まだざわついている感じです。

今回のショパン・コンクールは特別な回だったんですね。何が特別かというと、初めてYouTubeでライブ配信され、世界じゅうの人が生の演奏を、またはアーカイブで視聴したということです。前回も配信はされたようですが、YouTubeではなく誰もが手軽に聴けたわけじゃなかったんですね。

 

誰しもが、これは画期的なことと思っているでしょうけど、それ以上に大きな意味を持つんじゃないかと私は思っています。

これまではコンテスタントと審査員、ワルシャワのコンサートホールの限られた聴衆だけが当事者で、我々は受賞者が決定してからの報道で知るだけだったわけです。

 

終わってからも審査を巡って、なぜあのピアニストは二次で落とされたのかとか、最終的な順位は妥当だったのかとか、力を持った審査員の生徒が有利だったんじゃないかとか、いろんな声がネットで聞かれます。

タイムや距離で結果が出たり勝敗がはっきりわかるスポーツとは違い、ピアノ演奏の勝敗なんて審査員の主観で決まるわけですから。

採点表を見ると、審査員の好みも見えてきます。ある審査員があるピアニストには常に低い点をつけていたり、あるいは常に高い点をつけていたり。自分の生徒には採点できないことになっていますが、ライバルになりそうなピアニストに意図的に低い点をつけることだってできるわけですし。

そんなわけでいろんな憶測も生まれるわけです。

 

私も予備予選からできるだけ多くのコンテスタントの演奏を寝不足になりながら聴きましたが、審査の基準は最後までよくわかりませんでした。

こうやって聴くのが今回初めてなので、審査員は正統派の傷のない演奏を選ぶのかと思っていたのですが、12人のファイナリストはいずれも個性派揃いで、それも驚きでした。

審査が随分長引いて、発表は2時間ほども遅れたでしょうか。紛糾したのは明らかですね。

発表のときに姿を見せない審査員もいましたから、もしかしたら不服があったのかと。

 

そもそもショパンらしい演奏って何なのか、ショパン本人の演奏を聴いた人もいないわけだし、ショパン自身の演奏に近ければいいのかもわかりません。

5年に1回のこのコンクールは、今回コロナの影響で1年延びて開催されたので、次回は4年後の2025年になります。

審査員も世界じゅうの人が聴くようになって、採点表も公表するわけですから、物議をかもすようなジャッジはこれまで以上にできなくなりますね。

ショパン・コンクールは、もしくは審査員たちは、コンテスタントに何を求めているのか、次回、またじっくり聴いてみたいと思います。

店先で見かけたシクラメン。

もうこんな時期になりました。

いまはこんな変わったお洒落な品種もあるんですね。