ラルス・フォークトのモーツァルト

きょうは録画してあった、NHK交響楽団とラルス・フォークトの協演でモーツァルトのピアノ協奏曲第27番を聴きました。

指揮はパーヴォ・ヤルヴィ。

 

ラルス・フォークト(Lars Vogt)は1970年、ドイツ生まれのピアニスト。

年齢的にもまさに脂ののった時期ですね。

番組の中でヤルヴィとの対談で「この曲は子供のころにすごく惹かれた曲で思い出が詰まっている」というようなことを語っていました。

モーツァルトへの思い入れが強いんだなと思いましたが、レパートリーはとても広いようで、指揮もするんですね。

 

とても軽やかで端正な演奏で、モーツァルトの魅力を余すところなく聴かせてくれました。

モーツァルトって、いつも心地よい幸福感と、同時にその裏腹の生きる哀しみを味わわせてくれます。でも、決して大げさな絶望ではないんですね。

動画は、youtubeからのものなので、今回のモーツァルトではありませんが。

 

今回のN響との協演では、コンサートでは珍しく楽譜を置いて演奏していました。

譜面台は立てずに、ピアノの中に寝かせて、器用に自分で踏めくりしていました。

 

フランツ・リスト以来(クララ・シューマン説も)クラシックのコンサートでは暗譜で弾くのが通例ですね。コンクールも、音大の試験も、暗譜で弾くことを要求されます。

聴こえる音楽がよければ、楽譜は見ても見なくてもよさそうに思いますが、実際に楽譜を見て弾こうとすると、これが意外に弾きにくいんですね。目で譜面を追うのに気をとられるし、体の動きも制約される感じで。

 

でも、そこを上手にクリアできるのなら、譜を見てもいいのかもしれません。

私は発表会では生徒に「必ず暗譜」と言いますけど。

暗譜しなくていいとなると、途端に安易な考えになってぎりぎりまで真面目に取り組まなかったりするので。

 

プロは本当はすごく弾き込んでほとんど覚えているので、楽譜を置いたからといって演奏の質が落ちるわけじゃないんですね。

 

ともあれ、フォークトの演奏はとても上質で、満足させてくれるものでした。