夏の思い出

発表会の最後に、みんなで歌を歌おうと思って、選曲に迷いましたが、「夏の思い出」と「アンパンマンマーチ」に決めました。


夏がくれば思い出す

はるかな尾瀬 遠い空


「夏の思い出」の作曲者は、中田喜直さんですね。

ここにも書いことがありますけど、私はある声楽家の方がコンサートで中田喜直さんの曲を歌うときに、伴奏者として先生のお宅に伺ってレッスンを受けたことがあります。

なので、中田さんというよりは「中田先生」とお呼びしたいんですけど。

そのとき以外にも何回かお目にかかったことがあって、とても優しい方というイメージを持ったのですが、先生の笑ったお顔を見たことがないという印象も残っています。

目の奥が笑っていないというか。


もともとそういう方だったのかもしれませんが、後に先生が終戦を特攻隊要員として迎えたと聞きました。

音楽学校(現東京芸大)を戦争のために繰り上げ卒業して入隊したのだそうです。

平和な時代に生まれた者には想像できないような、苛酷な状況を生き抜いてこられたのでしょうね。


私は戦争を知らない世代ですが、私の父は戦争から帰ってきて母と家庭を持つことができました。母の兄2人は南方に出征して、1人は戦死、もう1人は行方不明のままと聞いています。

母や親戚から静岡空襲の話なども伝え聞いています。

私も毎年この時期になると、会ったことのない2人の伯父に思いを至します。


もし中田喜直さんが特攻隊として出撃していたら、この美しい「夏の思い出」という曲は生まれなかったんですね。

中田先生にとっての夏の思い出は、きっとこの歌に歌われているような美しい自然の中の思い出だけではなかったのでしょうけど。


今年は戦後70年ということで、テレビでもたくさん特集が組まれていました。

あの戦争を検証して、今の平和の大切さを繰り返し強く思うことが、とてもとても大事なことだと感じています。