ショパン 病との共存

ショパンは十代のころから体が弱く、いまほど医学が進んでいない時代ですから、はっきりわからない部分もありますが、結核だったようですね。

体調の波はあっても、そういう人生の中であれほどの美しく魅力的な名曲の数々を残したことには驚かされます。

病と闘ったというよりは、共存していたと言ったほうが正しいかもしれません。


ほかの分野でもそうなんでしょうけど、大作曲家の中には病気に悩まされながらも素晴らしい音楽を残した人が少なくないですね。

ベートーヴェンの耳疾や、シューマンの精神疾患も然りです。

ショパンの結核やベートーヴェンの耳疾は、医学の発達した現代なら治ったかもしれませんね。

シューマンの精神疾患は現代でも難しいかもしれないけど、全快とまでいかなくても、少なくとも投薬などで軽快することはできたでしょう。


モーツァルトの死因も、リウマチ熱だとか咽頭炎だとか謎が多いんですけど、一説には、当時は瀉血(悪い血を抜く)という治療法があって、モーツァルトは医師に繰り返し瀉血をされたために、最後は衰弱して亡くなったという話があります。

当時は医学的根拠もなく、こうしたらどうか、ああしたら治るんじゃないかという推測による治療が行なわれていたんでしょうね。


そういう時代はそれだけ人の命が短くて儚いわけで、1人の音楽家の人生の速度とか一日一日の濃さは、現代とは違ったんじゃないかと思います。


そんなことに思いを馳せながら聴いたり弾いたりしていると、より一層、彼らが音楽に込めた思いが胸に迫ってくるような気がします。