短歌 La courte poésie japonaise

少し前に、ことわざをフランス語に訳してみましたが、今回は古今和歌集から易しそうなものをフランス語にしてフランソワ先生に見ていただきました。

私の訳したもので大体合っているということでした。

五七五七七の字数に合わせるのはとてもできないので、意味を訳しただけですが。

 

今来むといひしばかりに長月の有明の月を待ち出でつるかな  素性法師(そせいほうし)

 

Parce que tu as dit "J'irai te voire tout de suite",je t'attendais.

パルスク テュ ア ディ ジレ テュ ヴォワール ト ド スイット,ジュ タンタンデ

Maintenant je regarde la lune pâle du matin d'octobre.

マントノン ジュ ルガルデ ラ リュヌ パール デュ マタン ドクトーブル

 

長月は旧暦で9月ごろですが、新暦では10月ごろなので、octobreとしました。

有明の月(la lune pâle du matin)が難しかったですね。

(la lune…月 pâle…青白い・光が弱い matin…朝)

いろいろ調べたけど、こういう表現しかないみたい。

有明の月って、こういう恋の歌の中では象徴的な言葉ですね。

この歌の場合は、すぐに行くからと言う男を待っているうちに、夜も明けかけて空に白い月が見える時間になってしまったという情景ですが、逆に訪ねてきた男が有明の月がかかって去っていく時間になってしまったという場合もあります。

素性法師は男性ですが、女性の立場になって歌を詠むのが上手だったそうです。

 

女性が自由に出歩くこともままならず、電灯もテレビもラジオもない時代です。

もちろん携帯電話なんてありません。

女性は月を眺めながらひたすら待つだけなんですね。

きょう訪ねてきた男が、次にいつ来るのか来ないのかもわかりません。

うーん、何とも切ない…(-_-)

 

でも、こういう深い情念が、文学になったり音楽になったりするんですね。