佐伯祐三とパリ

県立美術館で開催されていた「佐伯祐三とパリ」展に行ってきました。

佐伯祐三についてはあまり知らなかったのですが、印象の強い、才能を感じさせる画風で、会期中に観ておきたいと思ってずっと気になっていました。

 

佐伯祐三(1898~1928) 大阪市出身。

東京美術学校(現東京芸大)で学び、在学中に知り合って結婚した米子と幼い娘と共にパリに渡り、パリの街角などを描いた多くの絵を遺したが、持病の結核と精神を病んで自殺未遂、最期は食べることを拒んで衰弱して病院で亡くなり、その2週間後には6歳の娘も同じ結核で亡くなった。

 

ストレプトマイシンが発見されて結核が死病でなくなる以前は、この病気で夭折する人は多かったですね。芸術家や作家も。

ショパンも、結核と闘いながら数々の名曲を遺しました。

 

佐伯の作品は、一見して粗い強い線が印象的で、直線も傾いでいたり、歪んでいたりするのですが、それが作者の心象をあらわしているようで、天性のセンスを感じました。パリの石造りの建物やポスターや看板の文字をモチーフにしたものが特徴ですね。

30年の短い生涯と6年ほどの画家としての生活、激しく突き詰めて生きた証としての作品の数々。

 

私はときどき、それぞれ30代で亡くなった、シューベルトやモーツァルト、ショパンが仮に70代とか、せめて60代ぐらいまで生きたら、どんな作品をあとどれだけ遺しただろうと思いをめぐらすことがあるのですが、短い生涯でも充分に傑作を遺し、濃い足跡を残すのが天才の天才たるゆえんなのかもしれません。

 

佐伯祐三も、人々の記憶に残る天才だと思います。

行ってきて作品に触れることができて、本当によかったです。